ファミリー・トピックス

様々なニュースから、家族や恋人との話のネタになるようなものを月ー金でアップしてます

家出娘

今日は、新聞のニュースではなく

独自に取材した「家出娘」について書きます。

彼女(仮名アイさん)は、北関東に住む二十歳の女性だ。

色白で、つぶらな瞳が特徴的。

クラスに1人はいる、“不思議ちゃん”タイプといえばイメージがつきやすいか。

まずアイさんの生い立ちを聞いた。

4人兄弟の末っ子で、父はアイさんが生まれてすぐに家を出て行ったため

まったく記憶がないという。離婚した理由は知らないそうだ。

「父に会いたいと思ったことない?」と尋ねたら

「別に。今さら現れて、父親ヅラされても困るし」

アイさんはもう数か月、家には帰っておらず、新宿をねぐらに生活している。

 「どうして家に帰らないの?」

「家族が嫌いだから」

「お母さん一人で、アイさんをここまで育ててくれたんでしょ?」

「でも、私のこと褒めてくれないし…いつも叱ってばかり

 叩かれたこともある」

家に帰らないで、どうやって生活しているのだろうか?

「働いてるの?」

「ううん」

「お金とか、食費とかはどうしてるの?」

「誰かが御馳走してるから、何とかなる」

聞けば、出会い系などで知り合った男性に、面倒みてもらってるそうだ。

「じゃあ、夜はどうしてるの?」

「ホテル」

男とラブホに泊まって、朝まで過ごすのだとか。

「だって一人では寝たくないし。

 誰かに添い寝してもらないと不安で眠れないの」

うーん、なんか救いようのない話になってきた。

こんな女性なら、即ナンパ師の餌食だ。

カネも、食事も、寝床も、みんな男に頼っている。

男は、彼女のカラダ目当てに近寄ってきて、

少し優しくしてあげれば、まんまとゲットできるのだ。

アイちゃんが、私のことが知りたいと言うので、少し自分の話をした。

「ボクにも、アイさんと同じ歳の息子がいるんだ」

「へえ、そうなの?」と、驚いた顔をしている。

私が、子どもがいるようには見えなかったのか、と思いきや、アイさんは…

「実は、私も子どもがいるの?」

「えっ?」

「いま生後5ヵ月」

「そ、それで、パパは?」

「誰だか分からない」

「ええっ!?」

まあ、こんな生活を続けてたら、いつか、こういうことになる。

不謹慎とは思いながら、質問してみる。

「中絶という選択肢は考えなかったの?」

「親にバレないように隠してたら、過ぎちゃって」

つまり、中絶可能な妊娠5ヵ月を過ぎてしまったのだ。

「結局、バレて叱られたんだけどね」

「じゃあ、赤ちゃんは誰が面倒を?」

「お母さん」

「なのに、家に帰らないの?」

「大丈夫、母は4人も子ども育ててきたんだから」

「でも、息子さんに会いたくないの?」

「そりゃ会いたいけど…いいじゃん、別に…」

「別にって…」

すると、アイさんは不機嫌になって

「どうしてそんなことばっか聞くのよ。現実から逃避したくってココに

 来てるのに。どうして現実に引き戻すことばっかり言うの。

 まるで学校の先生に説教されてるみたい!」

と怒り出してしまった。(ちなみに「ココ」というのは新宿のことらしい)

 

ますます救いようのない話になってきて、

私はそれ以上この話に触れるのをやめた。

要するに、アイさんは、父親が誰かわからない子を産んで、

その子を母親に預けて家を飛び出し、

自分は新宿でオトコ遊びを繰り返している…ということだ。

 

もちろん、この現状に、一番苦しんでるのは

アイさん本人であることは間違いない。

「ストレスいっぱいで、苦しいの。

 一人でいると不安でしょうがないの」と、泣いていた。

そして、その現実から目を背けるために、

自分に優しくしてくるオトコを探しては、一夜限りの夜を過ごしている。

でも、そんなことをいくら繰り返しても、救われない。

絶対に救われない。

 

アイさんと別れた後、取材者としての自分の未熟さを痛感した。

つい、親の立場になって感情的な質問をしてしまった。

所詮、私は取材者だ。

彼女の人生に深くコミットできる立場じゃないのに、説教などもっての他だ。

それじゃあ、どうすれば良かったのだろうか?

未だに答えが見つからない。

いずれにせよ、いろいろ考えさせられる取材だった。

アイさんに、穏やかな、こころ休まる日が訪れることを願って止まない。