銀座私論
先週、金曜日の新聞各紙は、新たに銀座にオープンした大型商業施設
『GINZA SIX』の大々的に話題を報じていた。
なぜ「SIX」なのか?…ずっと気になっていたが、
調べてみたら、松坂屋の跡地に作られていて
そこの住所が「銀座6丁目」だからということらしい。
ちょっと下世話な話になるが、浅草に「ロック座」というストリップ劇場がある。
その名前のいわれは、明治時代、そこの住所が「浅草六区」だったから。
つまり「六区」→「ロック座」
それで銀座は「6丁目」→「SIX]
発想は同じだ。
もし命名した人が、ストリップ小屋のアイディアを知ってて、真似したとしたら、
「なかなか味なことをするなあ」と思うのは、私だけだろうか?
そういえば「SIXも」、1文字違えば「S◯X」だ。
うーん、ますます怪しい。
銀座の魅力は、何だろう?
昔から「銀ぶら」と言われるように、多くのブランド店、高級ショップが
建ち並んでいるからだろうか。
でも、それだけなら、別に銀座に限らず、表参道も六本木ヒルズも新宿も
それなりに高級店はいっぱいある。
私が思う、銀座の一番の魅力は「街を行く人たち」ではないかと思っている。
私が20~30代の頃、都内のあちこちで幾度となく街頭インタビューをした。
渋谷、新宿、原宿、六本木、上野、池袋、大手町…
そうした経験の中で、確実に言えるのは、銀座の人が一番、取材に協力的だった
ということ。
他の街だと「時間がない」とか「恥ずかしい」とかで
スっと逃げられるケースが多いのだが、
銀座の人は、大てい足を止めて、話を聞いてくれる。
取材を断られるにしても、とにかく一度は足を止めてくれる。
銀座に来る人は、どこか大らかな人が多いのではないか。
だから、突然声を掛けられても、「なあに?」と返すゆとりがあるのだ。
また「自分」というものを持ってるから、急に「意見を聞かせてほしい」と言われても
動ずることなく、自分の意見を披露できる。
銀座に来る人は、どこか大らかで、ゆとりが感じられる。
銀座がいいのは、単に商業施設がいっぱいあるというだけではなく
そういう人たちが醸し出す、何処かのどかで、風流なムードみたいなものが
街に漂っているからではないだろうか。
今や、若い世代や、外国人観光客が多く押し寄せる銀座だが
そうした大らかさは、失ってほしくないと願う。