てんでんこボタン
通勤で自転車を使っているが、途中にけっこう急な、長い上り坂がある。
私が必死にペダルを漕いでいると
前後に小さい子どもを乗せた母親の自転車がスーッと抜かしていく。
電動アシスト自転車だ。しかも、楽々と…
そのたびにうらやましく思うのだが、
実はこの自転車は、逆に下り坂だとスピードが出なくなるらしい。
時速24キロ以上になると、漕ぐ力が働かなくなる。
あくまでも「漕ぐ力」をアシストするためで、スピードを出すための装置ではない。
そんな電動自転車に『てんでんこボタン』という新たな装置を付加する動きが
広がってるそうだ(きのう朝日新聞・夕刊)
津波などの緊急事態の時に、もっとスピードが出るようにした方がいいという
ユーザーの声があって、
そのボタンを押すと、時速24キロ以上を超えてフルパワーで加速するらしい。
ちなみに「てんでんこ」とは、東日本大震災で知られるようになった
「津波てんでんこ」のことで
意味は「津波が来たら、各自てんでんばらばらに高台に避難しろ!」
という教訓ともいえる言い伝えだ。
そのための加速装置が「てんでんこボタン」なのだが、
法整備や安全対策など、まだまだハードルがあるらしい。
それより何より、1分でも時間をムダにしたくない現代人である。
「ああ、保育園に急がなきゃ」とか「仕事に間に合わない」とか
「信号が赤になる」とか…
津波以外のあらゆる場面で、「てんでんこボタン」を押すことに
なるのではないだろうか。