ジョン・ブル
イギリスという国は、ひねくれ者が多いのか
時おり番狂わせな出来事が起きる。
先週の総選挙でも、メイ首相率いる保守党が圧勝するとの予想から
EU離脱を円滑に行うために解散したのに
結果は議席を大きく減らして、過半数を割りこむ最悪の結果になってしまった。
以前にも、同じようなことがあった。
1945年夏の選挙で、ナチスドイツを破った名宰相チャーチル率いる保守党が
圧勝すると思われたが、その予想を覆し、労働党に大敗したのだ。
去年のEU離脱の是非を問う住民投票でも
反対派が勝つとの世論調査を覆して、賛成派が勝った。
もちろん、いろんな社会的背景はあると思うが
私が感じるのは、英国人の気質だ。
英国人は “勝って当然、当たり前” という態度をとる人間が
すこぶる嫌いなんじゃないだろうか。
それを「自信」というより「傲慢」と見るイギリス人的な正義感
みたいなものを感じてしまうのである。
かつてヒトラーが、ヨーロッパに侵攻し、パリまで来た時に、
英国人に向かって「もし戦争になれば、英国人の血がいっぱい流れることになる」
と脅しをかけ、不平等条約に調印するよう求めてきた。
その時、イギリス国民は一斉に反発し、
一致団結して、戦争の道を選んだのだ。
こうした英国人の反骨心というか、伝統的な英国魂が
現代でも伝統は生きているということなのだろう。