日野原重明先生、死去
一昨日、日野原重明さんが105歳で死去した。
日野原さんが58歳だった1970年、よど号ハイジャック事件が起きて
先生は機内にいた。
そして、犯人からドフトエフスキーの本を渡され、
そのとき読んだ冒頭の新約聖書の一文が、
その後の人生に大きく影響を与えたそうだ(きのう・読売新聞コラム)
『一粒の麦、もし地に落ちて死なずば、唯一つにてあらん。
もし死ねば、多くの麦を結ぶべし』
もし一粒の麦が落ちて死ななければ一粒のままだが、
もし死ねば、多くの実を結ぶ。
つまり1人の犠牲によって、多くの人が助かる…という意味らしい。
日野原さんは、この事件から無事に生還すると
今までの自分の生き方を改めたという。
「それまでは業績を上げて有名な医師になることばかり考えてきた。
もうやめた。自分は生かされているのだ。
これからは我が身を、自分以外のことに捧げよう」と
心に誓った。
そして生涯現役を貫き、健康で豊かな老いの、あるべき姿を体現しつづけた。
多くの高齢者に勇気を与えた日野原先生の精神は
多くの医師たちに受け継がれ
いつか『アラハン』(百歳前後の人)という言葉が
不自然ではない時代が到来するかもしれない。
自らの命を存分に使い切った、素晴らしい105年間だったと思う
合掌