ファミリー・トピックス

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私の三谷さん論

朝日新聞の「三谷幸喜のありふれた生活」は

木曜日の夕刊に連載されていて

三谷ファンの私は毎回、読むのを楽しみにしている。

きのうで860回目だから、18年ぐらい続いている計算になる。

 

昨日の記事の中で

三谷さんは、芝居の千秋楽に行われるカーテンコールが

大の苦手であることを吐露している。

先日、大盛況で終わったコメディ『子供の事情』の時も

観客総立ちで拍手が鳴りやまない中、三谷氏は舞台に登場せず

控え室でスープを飲んでいたらしい。

 

どうしてか?

フツー、脚本家・演出家なる者は

千秋楽の舞台にスポットライトを浴びて登場し

観客からの賞賛と拍手喝采を一手に受ける。

まさに「裏方」冥利に尽きる瞬間で、

もし私が三谷さんなら、間違いなく舞台に出て行って

ドヤ顔で、観客に「どうもーっ!」と手を振りまくるだろう。

 

だが、三谷さんはそれを嫌う。

理由は「恥ずかしいから」だそうだ。

それともう1つ、 自分の書いた本が、芝居になって観客に喜んでもらえただけでも

じゅうぶん幸せなのに「これ以上、幸せになってはいけない。罰が当たる」と

舞台に上がらない理由として挙げている。

だが、私は、多分にウソがあるようにと思う。

三谷さんがカーテンコールを拒むのも

打ち上げに参加しないのも(『子供の事情』の打ち上げが行われている時、

三谷氏はひとり家にいて、大好きな映画「大脱走」のDVDを観ていたそうだ)

おそらく、他に理由があるような気がする。

きっと三谷さんは自分が、ヒーロー的な主役になるのが嫌なのかもしれない。

たとえば『スターウォーズ』のラストシーンのような

大勢の民衆の前で祝福と賛辞を浴びるような英雄的な主人公が。

それよりも、たとえば『明日のジョー』の矢吹丈のような

ダークヒーローの方が好きで、自分の性に合っている。

…というか、居心地が良いのではないか。

芝居が大成功に終わり、みんなが打ち上げで盛り上がってる中、

自分は、ひとりソファに寝そべって

少し笑みを浮かべて、ぼんやり映画を眺めている…

その姿はまさに伊吹丈、ダークヒーローそのものだ。