アンデルセン
アンデルセンは、自伝を残しているが
ふつうは晩年に書く自伝を、なんと彼は20代で書きはじめ
40代で早々と出版したそうだ。
「私の生涯の物語が、私のすべての作品の最上の注釈になるだろう」と
ナルシストなのか、自己顕示欲が強いのか、よくわからないが
アンデルセンの強烈な個性を感じる。
靴職人だった父を11歳で失い、その後、再婚した母には冷たくされ
家を追い出されてしまった。
そのせいか被害者意識が強く、作家になってからも
「自分は日陰者扱いされている」
「親切な言葉も友情の一滴も注がれない」と嘆いていてそうだ。
褒められると有頂天になり、けなされると絶望の淵まで落ち込む人だったらしい。
失恋を重ね、70歳でこの世を去るまで、生涯独身だった。
アンデルセンは、おそらく自分の創作した物語が
多くの子どもたちの心を揺さぶり、
永遠に語り継がれていくことを知っていただろう。
一方で、人として幸せな人生を送ることができなかったアンデルセンは
40代の時、すでに自分の人生を見切っていたのかもしれない。
「人間は変わらない。
だから私は、この先、歳を重ねても幸せにはなれないだろう」と。