由緒正しきビーチとは…
若者に人気のある海水浴場と言えば
何と言っても湘南海岸(神奈川県鎌倉市)だろう。
夏のシーズンには大勢の海水浴客が押し寄せ
ビーチはイモ洗い状態になる。
そんな湘南海岸の1つである由比ヶ浜で
この夏、思わぬ論争が起きていた(きのう読売新聞・夕刊)
発端は、ある業者が、海の家として
男女の出会いとなるような「相席居酒屋」を出店しようとしたことだった。
鎌倉市は「風紀が乱れかねない」と出店中止を求めた。
文学作品にも登場する由緒正しき由比ヶ浜に
出会い系の店などトンでもない、という理屈だろう。
ところが、一方の神奈川県は「店は、婚活支援を目的に掲げている。
風紀を乱すとは言いがたい」と、ビーチの使用許可を出すつもりでいた。
若者の結婚を応援し、少子化を少しでも食い止めようという立場だ。
そもそも論として、「出会い系」=「風紀の乱れ」という発想がおかしくないか。
確かにイカガワしい出会い系サイトとか、出会い系カフェとかあるが
それと、今回の海の家を、同一視するのはどうかと思う。
それに、今どきの恋愛事情でいうと、男女のあいだに
ある種のいかがわしい行為(要するに肉体的接触など)がなければ
結婚には至らないだろう。
それを大人が「風紀の乱れ」と、一言で片付けてしまったら
ますます若者の結婚離れが進むのではないか。
しかし、残念ながら、業者は自ら出店を見合わせる判断をし
この議論は立ち消えとなってしまった…