十辺舎一九について
「東海道中膝栗毛」の作者であり十辺舎一九の話。
川柳や芝居の脚本、人情本、落語、狂歌など、いろんな執筆をし、
一説によると、日本で初めて文筆のみで生計を立てた
「作家」みたいな人だったらしい。
そんな十辺舎一九の辞世の句は、
『この世をば どりやおいとまに 線香の煙とともに 灰左様なら』
と、実にサッパリしたものだった(きのう・東京新聞コラム)
「立つ鳥、跡を濁さず」というのかどうか分からないが
いかにも作家らしい洒落がきいている。
誰が言ったか忘れたが
『人は、生きてきた時と同じように、死んでいく』という。
要するに、周りの人から愛されて生きてきた人は
死ぬ時も、多くの人に囲まれて死んでいくことか。
十辺舎一九という人は、どうだったのだろう?
彼のこんな逸話が残っている。
彼が死んで火葬された時、体内に仕込んであった花火が上がり、
周囲の人を驚かせたというのだ。
おそらく落語のネタか何かの作り話だろうが、
この逸話が、十辺舎一九の人となりを大いに表わしている気がする。